実務への影響は予想以上~中小企業の新会計の検討がスタート
“中小企業の新会計” *をめぐる最新の動きを紹介します。
今回は「中小企業の会計に関する検討会」についてです。
*後述する研究会と懇談会によって「中小企業の新たな会計指針・新たに中小企業の会計処理のあり方を示すものを取りまとめるべき」等の方向性が示された。これを受けて、当HPでは、便宜上「中小企業の新会計」と仮称している。
- スタートした新会計の検討
昨年の10月から水面下で続けられていた中小企業の新会計づくりが、「中小企業の会計に関する検討会」という形で、ようやく2月15日にスタートすると日経新聞が報じましたが、その内容が徐々に判明してきました。(関連記事 2011/2/15)
- 注目すべき内容
注目すべきは次の3点です 。
(1)事務局は中小企業庁と金融庁が共同で!
今回の検討会の前提となったのは、昨2010年に開催された中小企業庁の「中小企業の会計に関する研究会」(座長:江頭憲治郎 前法制審議会会社法部会長)と金融庁の「非上場会社の会計基準に関する懇談会」(座長:安藤英義 企業会計審議会会長)です。
それらの意向を汲んで、この2/15、「中小企業の会計に関する検討会」がスタートしたわけです。
そうした背景がありますから、検討会の事務局は中小企業庁と金融庁の共同となりました。実はこのことは極めて画期的なことなのです。
中小企業の会計づくりに金融庁が「直接に」関わる! このことの歴史的な意味と重みが、徐々にさまざまな形で明らかになってくるものと思われます。新会計が中小企業の実務の新たなインフラになる、このことが現実味を帯びてきました。(2)この夏前にも公表か!
大車輪で検討をし、5月前後にも公開草案が公表され、パブリックコメントを徴したうえで、6月頃にも公表することを検討しているようです。
実務的には、いつから適用されるのか(適用時期)関心ををよぶところですが、現時点では不明。いずれにしろ関係する方々は、早めに準備をする必要があるようです。当初の予定よりも、時間的に切迫してきました。そうのんびりとはできなようです。(3)経営団体が作成、普及と活用は誰が?
検討会は日商などの経営者団体が中心になって10名程で構成されたようです。中小企業の新会計の作成主体は、会計人ではなく経営者自身である、このことを象徴的に示す人選となった模様。
では会計人の存在意義はどこにあるのか?などなど、今後の新会計の普及と活用については、従来の固定概念は通用しないことになりそうです。
日経によれば、座長に万代勝信氏(一橋大学大学院教授)が就任したとのこと。
なお、検討会を受けて「ワーキンググループ」が設置され、具体的な検討・論点整理・分析結果等をまとめた提言を行なうことになった模様です。
検討すべき論点の案として、(会計のルールづくりですから当然ですが)勘定科目や会計処理といったことが掲げられるようです。
しかしこれまでと異なり、新会計の取りまとめ後にどのように普及促進と活用を図るかが検討される予定とのこと。これまで中小企業に関わってきた専門家の方々が、新会計の活用にどの程度役に立つか、真価が問われることになりそうです。 - どのように対応すべきか
今後の検討を通じて、全容が徐々に明らかになってきます。具体的な対応はそれを見てということになるでしょう。今は情報の収集と新会計の本質を理解することに努め、そのうえで、会計専門家であれば専門家としての高い識見をもって自己の立ち位置を考え続けるといったことになるでしょうか。
従来の発想の延長では対応できない部分がかなりありそうです。戦略的に準備を進めることが重要になるものと思われます。株式会社(上記懇談会によると約260万社)であれば、最低限従わなければならない「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」(会社法431条)の最も基本的な姿が、今度こそ整備・運用されて、実際に経営者自身によって活用されることを通じて、「中小企業の成長に資する」(上記研究会の中間報告)事例が全国の至るところで出現する、そうした道が拓かれようとしています。


